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「不動産取引の手引き」1 不動産を売るときのポイント

最終更新日:令和3(2021)年9月30日

1 売却までの流れ

  1. 売却相談
・・・宅建業者に価格その他について相談します。
  ※「宅建業者」(宅地建物取引業者)とは不動産業者のことです。
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  1. 物件調査
・・・宅建業者が売却予定物件を調査します。
  ※仲介する宅建業者を媒介(仲介)業者といいます。
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  1. 価格査定
・・・媒介(仲介)業者から査定した価格が提示されます。
  
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  1. 媒介契約の締結
・・・媒介契約を締結して、売却の依頼をします。
  
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  1. 広告(販売活動)
・・・媒介業者は買主を探すための販売活動を行います。
  ※特別に依頼する広告等を除き、販売活動の経費は媒介業業者の負担です。
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  1. 契約交渉・告知
・・・購入希望者と契約条件について交渉します。
  ※このとき、売主は、知っている売買物件の状況や欠陥・不具合等があれば、その内容を
   購入希望者に告知します。
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  1. 売買契約の締結
・・・契約条件について買主と合意ができたら契約をします。
  
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  1. 決済・引渡し
・・・売買代金の受領と同時に買主に物件を引渡します。
  
   

★価格について

価格には、取引の流れの中で、次のようなものがあります。

  1. ① 売却希望価格…売主の売却希望価格(通常、査定価格を上回ることが多い。)
  2. ② 査定価格…媒介業者が「価格査定マニュアル」などに基づいて査定した価格
  3.   ※宅建業者が価格について意見を述べるときは、価格の根拠を明らかにしてすることが義務付けられています。
  4. ③ 売出価格…①、②の価格を協議の上、決定した市場への「売出価格」
  5.   ※媒介契約書には「媒介価額」としてこの価格が記載されます。
  6. ④ 購入希望価格…買主の購入希望価格(「指値(さしね)」ともいいます。)
  7. ⑤ 成約価格…交渉の結果、売主・買主間で合意した「売買(契約)する価格」
  8.   売出価格で売却できることもありますが、購入希望者は少しでも安く購入したいので、購入希望者から売出価格よ
     り低い「④購入希望価格」が示されるのが通常です。売買価格は交渉により決まります。媒介業者が双方の希望を
     相手方に伝えながら調整・交渉しますが、価格の合意ができなければ契約はできないことになります。

2 トラブル防止のための告知と確認

 不動産の種類・品質について、契約の内容に適合しないものを売主が買主に引き渡した場合(例えば、売買により引き渡した既存住宅に、契約で予定していなかった雨漏りがあった場合)、売主は、買主から、修補等を求められたり、場合によっては、損害賠償請求や契約の解除が求められます。

 契約不適合に関するトラブルは多く発生しています。取引の実務では、一般的に媒介(仲介)業者は、売主に告知書(物件の状況等の報告書)の作成協力をお願いしています。

 売主は、知っている欠陥・不具合等がある場合は、告知書を通じてこれらを漏れなく買主に告知するとともに、告知した欠陥・不具合等を売主・買主双方が確認を行い、そのまま引き渡すか、修補して引き渡すか等を含め、売買契約の内容とすることが、トラブル回避の観点から重要です。

3 こんなトラブルに注意

(1) 不当に安い金額で売らされた

 面識のない業者から突然に電話があり、現在は使用していないマンションや一戸建住宅を「買い取るので、売ってほしい」と言葉巧みに勧誘され、近隣相場より著しく安い不当な金額で契約をさせられたなどのトラブルがあります。高齢の方が狙われやすいので注意が必要です。不動産を売るときは、上記「1 売却までの流れ」の手順で行うようにします。

(2) 不当な支払遅延

 買主業者が、約束の期日に売買代金を支払わないトラブルも稀に見られます。宅建業者が代金支払を不当に遅延する行為は宅建業法で禁止しています。

(3) 原野商法の二次、三次被害

消費生活センター等には、過去に原野商法等で買わされた土地の所有者を狙った詐欺的行為による被害相談が多く寄せられています。

  1. ア. 売ってあげるといって、広告費の名目でお金を支払わされた。
  2. イ. 買う客がいるが測量が必要といって、測量費の名目でお金を支払わされた。
  3. ウ. 売るためには草刈りや造成が必要といって、造成費用などのお金を支払わされた。
  4. エ. 「責任をもって売ってあげるので、価値のある土地と交換しよう」と持ちかけ、購入する土地との差額代金を支
      払わされた。

 原野商法等で騙されて購入させられた土地や新たに購入を持ちかけられる土地は、実際の取引価格とはかけ離れたものであり、利用価値の低い土地ですから、“買う人はいない”と考えてください。「売りたい」という気持ちにつけ込んだものです。一旦お金を支払うと、法律的には取り返すことが可能であっても、お金が戻ってくることはほとんどありません。騙されないように注意しましょう。困ったときは、早めに相談しましょう。


お問い合わせ先
民間住宅部 不動産業課 指導相談担当
直通 03-5320-5071