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「不動産取引の手引き」業者名簿閲覧の手引き

最終更新日:令和5(2023)年5月8日

業者名簿閲覧の手引き (初めて業者名簿を閲覧する方に)

●名簿の閲覧とは?

これから不動産の取引をしようとしている方などが、不動産業者について調査を行うことができるように、東京都では、宅地建物取引業法第10条の業者名簿等として、現在、宅地建物取引業の免許を受けている業者(都内に主たる事務所の所在する業者のみ)の情報を「業者名簿」の閲覧というかたちで公開しております。

●「業者名簿」とは?

皆様にご覧いただくものは、一般的に名簿といわれているような形式の、業者一覧表のようなものではありません。業者の免許申請に係る書類等を、各業者ごとにファイルしたものが、ここでいう「業者名簿」です。そのため、閲覧の際は、ご覧になりたい業者を特定して申し込んでいただくことが必要です。
(宅地建物取引業法第8条に定める事項はすべて、この「業者名簿」で確認できます。)

●閲覧対象となる宅地建物取引業者について

東京都知事免許業者の全てと、国土交通大臣免許業者のうち東京都内に主たる事務所(本店)が存するもの(閲覧する時点において現に有効な免許があるものに限ります)
※東京都知事免許・・・東京都内にのみ事務所が存する業者(事務所の数は問いません)
※国土交通大臣免許・・・複数の都道府県に事務所が存する業者

●「業者名簿」の構成

業者名簿のファイルには、次の3種類の書類が、上から3、2、1の順序でおさめられています。

  1. 1.免許申請書(及びその添付書類の一部)
    新規または更新の免許申請時に業者から提出される書類です。
  2. 2.宅地建物取引業者名簿登載事項変更届出書(及びその添付書類の一部)
    業者の商号(名称)、事務所所在地、役員、専任の宅地建物取引士等の変更の届です。
  3. 3.行政処分の記録
    過去5年間に行政処分を受けた業者のファイルにのみ添付されます(表紙の裏にスタンプ(赤)が押してあります)。

〔免許申請書〕

免許申請書(及びその添付書類の一部)は、次のような構成になっています(一部省略しています)。

免許申請書(第一面) ・免許証番号・有効期間
・商号または名称
・代表者に関する事項
・兼業がある場合その種類
・資本金
・所属している業者団体
免許申請書(第二~四面) 役員、政令で定める使用人、事務所、専任の宅地建物取引士に関する記載があります。
相談役・顧問の名簿 法人免許の申請書のみ
株主または出資者の名簿 法人免許の申請書のみ
代表者の住民票 個人免許の申請書のみ
略歴書 代表者、役員、専任の宅地建物取引士の略歴
従事者の名簿 宅地建物取引業に従事する者のみ(兼業部門の従事者の名簿)
専任の宅地建物取引士の顔写真
商業登記簿謄本 法人免許の申請書のみ
宅地建物取引業経歴書 申請前5年間の取引実績が記載されています。
申請前1年間の決算書 法人免許の申請書のみ(開始貸借対照表の場合もあります)
資産に関する調書 個人免許の申請書のみ
申請前1年間の納税証明書
事務所の権利に関する書面
最寄駅→事務所の案内図
事務所の写真 国土交通大臣免許業者の場合、事務所の写真は、免許申請書の前(上)につけられます。なお、東京都外の事務所については添付されていません。

〔宅地建物取引業者名簿登載事項変更届出書〕

変更届は、免許申請書の記載事項のうち、次の事項に変更があったとき、業者から提出されます。

商号(名称)/事務所の所在地/代表者/役員等/専任の宅地建物取引士

〔行政処分の記録〕

過去5年間に東京都から行政処分(指示処分または業務停止処分)を受けたことのある業者にのみ、書類の一番上に付けられています。つまり、業者名簿を開いたとき、一番上にこの書類が付いていなければその業者は、過去の5年間の行政処分歴は「なし」ということになります。
この書類は、行政処分当時の記録ですので、現在の商号・所在地等と書面上の記載が一致しない場合もあり得ます。これは、その後に商号変更・事務所移転等があったためで、免許証番号が同じであれば、同一の業者です。

●閲覧で知ることのできる事項

1 免許に関する事項

免許証番号・有効期限 免許申請書第1面に記載されています。
「申請時の免許証番号」の記載と間違わないようにしてください(その下の四角いカコミの中の記載が、現在の免許証番号と有効期限です)。免許証番号のうちカッコ内の数字は、その業者の免許の回数を表します。例えば新規に免許を取得した業者は(1)、その業者がはじめて免許を更新すると(2)というように、以後免許更新を重ねるたびに、カッコ内の数字は増えていきます。ですから、カッコ内の数字が大きい業者ほど、業歴が長いといえます。

2 業者の現況に関する事項

商号・名称/事務所、代表者・役員等氏名、専任の宅地建物取引士 免許申請書第1面~第4面に記載されています。また、これらの事項に変更があったときには、変更届が出されますので、変更届を届出順に追っていく(下から順番にたどる)ことによって、現況を知ることができます。
従事者の氏名 従事者の名簿(「宅地建物取引業に従事する者の名簿」)に記載されています。従業者証明書番号の頭部4桁はその業者での勤務開始年月日(西暦)を示します(ただし、記載内容は免許申請時点のものです)。
業者団体への加入状況 免許申請書第1面の右下部分に記載されています。コード番号しか記載されていない場合には、閲覧窓口の係員にお尋ねになってください。

免許更新を一度もしていない業者(免許証番号が(1)の業者)の場合には、「業者団体への加入状況」の記載はありません。業者は、免許の取得手続が済んだ後に団体に加入するので、新規免許申請の時点では、どの団体にも加入していないからです。
この場合、その業者の業者名簿に変更届があればその第1面を見て下さい。「全宅協会」というゴム印(青色)が押してあれば、公益社団法人東京都宅地建物取引業協会、「全日協会」であれば公益社団法人全日本不動産協会に加入している業者です。どちらのゴム印も無い場合は、加入状況は閲覧所では分かりません。必要であれば、係員にお尋ねください。

3 業者の経歴に関する事項

営業実績 宅地建物取引業経歴書をご覧ください。免許申請前5年間の取引の実績が、取引形態別の一覧表になっています。
1枚目の一覧表は「代理・媒介(仲介)」の実績で、「宅地」「建物(区分所有建物はここに含まれます)」
「宅地及び建物(いわゆる土地付建物)」の種類別で、それぞれの取扱件数と手数料収入額が記載されています。
2枚目は「売買・交換」の実績で、「売却」「購入(物件の仕入れ)」「交換」の、物件種類別の取扱件数と取引金額の合計が記載されています。
(免許更新を一度もしていない業者の場合には、記載はありません。)
資産状況 決算書(貸借対照表と損益計算書)をご覧ください。
免許申請1年前のものが添付されています(個人業者の場合は「資産に関する調書」をご覧ください)。
納税状況 納税証明書をご覧ください。税務署が発行した法人税(個人業者の場合は所得税)の納税証明書が添付されています(免許申請前1年間のもの)。
行政処分歴 行政処分の記録をご覧ください(過去5年間に処分歴のある業者のみ)。

4 営業保証金等に関する事項

業者は免許を取得した後、営業開始前に、法務局に営業保証金を供託(もしくは保証協会に入会して弁済業務保証金分担金を納付)することが必要です。
一旦営業保証金を供託しても、それが弁済されたため営業保証金が無い状態にある業者(または保証協会から除名された業者)については、取引にともない債権が発生しても営業保証金等から弁済が受けられません。
そのような業者については、業者名簿の表紙にその旨の表示をしていますのでご注意ください。

●閲覧では知ることのできない事項

【行政指導・苦情の状況等】

行政指導(正式な行政処分には至らない注意・指導等)の記録、あるいは業者に対する苦情・相談の状況については、公表しておりません。

【古い情報】

免許更新前の情報
業者名簿は5年ごとの免許更新時に、すべて新しい書類と差し替えています。免許更新以前の情報については、閲覧では確認できません。

【免許の失効した業者の情報】

廃業等により免許が失効した業者名簿は閲覧の対象外となります。

【不動産賃貸・管理業者】

不動産賃貸・管理業、駐車場(1台分ずつのスペースとして貸す場合)やウイークリーマンションの運営、リフォーム業などは、宅地建物取引業法第2条に定める宅地建物取引業に該当しないため、免許を必要としません。ただし、これらを行う業者が宅地建物取引業者であれば、業者名簿を閲覧することができます。

●おわりに

以上、業者名簿の閲覧について説明してきましたが、これから不動産取引をするに当っては、都知事が免許した業者だから安心だとか、業者の調査をしておけば安心、というわけにはいきません。業者が調査の結果「問題なし」であっても、それが「すべて業者まかせで大丈夫」という保証には決してなりません。
安全な取引のためには、もちろん業者の調査も必要なのですが、それよりも、自らが不動産取引の基本的な知識をふまえたうえで取引にのぞむことのほうが、はるかに重要なことです。

宅建業者のいろいろな義務

1.事務所の整備 宅建業者の標識、報酬の限度額などの掲示、専任の宅地建物取引士の設置など。
2.正しい広告義務 「2 オトリ広告に注意」 「3 よい広告とは」を参照してください。
3.媒介契約書の交付義務 宅地・建物の売買の媒介の契約を締結したときは、所定の媒介契約書を作成して依頼者にこれを交付しなければなりません。
4.重要事項説明書の交付と説明義務 契約する前に、宅地建物取引士が宅地建物取引士証を提示して、物件及び取引に関する重要な事項を記載した書面(重要事項説明書)を交付して説明しなければなりません。
5.書面(契約書など)の交付 取引が成立したら、宅建業者は法律で定められた事項を記載した書面(売買契約書など)を交付しなければなりません。
6.宅地建物取引士証・従業者証明書 従業員は宅建業者の発行する「従業者証明書」を、加えて宅地建物取引士は都道府県知事の発行する「宅地建物取引士証」を携帯しなければなりません。
7.宅建業者の立場の明示 宅建業者は、宅地・建物の売買について広告をするとき及び注文を受けたときは、自ら売主などの当事者となるのか媒介か代理か、立場を明確にしなければなりません。

業者名簿の閲覧をされたい方はこちらをご覧ください。