1. 住宅政策本部トップ
  2. 不動産取引、賃貸住宅に関するご相談、宅建業について
  3. 賃貸住宅のオーナーチェンジを契機とした家賃値上げトラブルについて

賃貸住宅のオーナーチェンジを契機とした家賃値上げトラブルについて

〇 新しいオーナー(貸主)からの一方的で大幅な賃料値上げの通知や要求には、簡単に応じないように注意してください。
〇 値上げの通知等があった場合には、貸主に対し、賃料値上げの理由等の説明を求めることや、下記の相談窓口等で交渉方法等のアドバイスを受けることが重要です。
〇 賃料値上げを一度、同意(変更契約や変更合意、賃料を値上げした更新契約を締結等)してしまうと、後日、この同意を取り消すことは難しくなります。

1 家賃の値上げに係る借主の対処法

•    貸主と借主双方の合意がなければ、値上げは認められません。
•    貸主が家賃を値上げすることは、法律で認められていますが、借主は必ずしも応じる必要がありません。
•    借主は、納得できない場合は値上げを拒否することができます。
•    借主は、従来の家賃を支払えば、これまで通り居住することができます。
•    貸主が受け取りを拒否した場合には、借主は家賃を供託することで支払いの証明が可能です。

2 都の相談窓口

•    東京都不動産業課 賃貸ホットライン     
  電話相談:都庁開庁日   9時~17時30分 (直通)03-5320-4958
•    東京都不動産取引特別相談室(弁護士・司法書士無料相談)※対面相談のみ
  予約電話:都庁開庁日   9時~17時30分 (直通)03-5320-5015
  相談時間:都庁開庁日 13時~16時(1回の相談時間は20分)

3 具体的な相談例

【相談①】現在契約期間中の賃貸住宅の所有者が変わり、新たな貸主となった新所有者から、一方的に現在の倍以上の賃料値上げを要求されているが、応じなければならないのか。

【回 答】借主には、値上げに応じる義務はありません。貸主の賃料値上げは法律上ただちに認められるわけではなく、借主が応じない場合、貸主は賃料増額請求訴訟を提起し、裁判所から増額を認められる必要があります。

(参考)借地借家法32条では、以下の場合に、貸主と借主は、賃料の増額・減額を請求できるとされています。
①    土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減
②    土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動
③    近傍同種の賃貸借建物の賃料に比較して不相当となったとき
ただし、賃料の増額は、貸主にとっては有利になる一方で、借主にとっては不利な条件変更となるため、貸主からの賃料増額請求の裁判において、増額が認められるには、上記の法律上の要件①~③のいずれについて厳格に満たす必要があります。

【相談②】現在入居中の賃貸住宅が契約更新の時期を迎えているが、貸主から、「更新後の賃料の見直し(値上げ)をしたいので応じてほしい。もし、今回の賃料見直しに応じなければ、契約の更新をしない」と言われている。

【回 答】更新後の賃料の見直しに借主が応じないことを理由に、貸主は契約の更新を拒絶することはできません。契約の更新とは原則、従前の契約と同一の契約条件で契約を継続することです。更新時の賃料の値上げについても、上記の相談①の場合と同様、法律上ただちに認められるわけではありません。

(参考)借地借家法28条では、更新の拒絶(更新しない旨の通知、解約の申し入れ)は、以下の①~⑤までを考慮して、これらに正当の事由があると認められる場合でなければ、できないとされています。
①    賃貸人及び賃借人がこの賃貸借の建物の使用を必要とする事情
②    賃貸借に関する従前の経過
③    建物の利用状況
④    建物の現況
⑤    賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申し出

記事ID:109-001-20250626-011301