「不動産取引の手引き」5 既存住宅を売買するときは
最終更新日:令和3(2021)年9月30日
1 建物状況調査の活用を検討する
既存住宅の流通量が増加しないのは、買主にとって住宅の品質が必ずしも明らかでないことが大きな要因となっており、安心して取引ができる市場環境を整備するためには、専門家による建物状況調査(インスペクション)の活用が有効などの指摘がされてきました。そこで、平成30年4月から、既存住宅の媒介契約を締結する際には、媒介業者は依頼者に対して、建物状況調査の制度概要の紹介と調査会社のあっせん希望の確認を行うことになりました。
2 建物状況調査とは・メリット
建物状況調査は、国土交通省の定める講習を修了した建築士が、建物の基礎・外壁など建物の構造耐力上主要な部分と雨水の侵入を防止する部分に生じているひび割れ・雨漏り等の劣化・不具合の状況を把握するための調査です。建物状況調査が広く実施されることにより、良質な既存住宅が流通しやすくなると期待されています。
●売主が実施するメリット
①引渡し後のトラブル回避
取引後のクレーム等のトラブル回避に繋がります。
②競合物件との差別化が図れる
購入希望者に安心感を与え、他の売却物件と差別化ができます。
●買主が実施するメリット
①より安心して購入の判断ができる
専門家の調査により建物の状況が把握でき、より安心して購入の判断をすることができます。
②メンテナンスの見通しが立てやすい
購入後のリフォームやメンテナンス等の予定を見込んだ取引が可能となります。
注:買主が建物状況調査を実施する場合には、事前に売主の承諾を得る必要があります。
●既存住宅売買瑕疵保険への加入
既存住宅について、「住宅瑕疵担保責任保険法人」の登録を受けた検査事業者の検査人が建物状況調査を実施し、建物状況調査の結果、劣化・不具合等が無いなど一定の条件を満たした場合には、既存住宅に瑕疵があった場合に修補費用等を保証する保険(既存住宅売買瑕疵保険)に加入することができます。
<参考資料>
国土交通省URL:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/kisonjutakuinspection.html
3 建物状況調査のあっせんの流れ
既存住宅の売却におけるあっせんの流れ
建物状況調査の制度の紹介
・・・宅建業者より、建物状況調査の制度の概要が紹介されます。
あっせんを希望する
(「あっせん有」の媒介契約を締結)
・・・あっせんを希望しない場合は、「あっせん無」の媒介契約を締結します。
下記の「広告(販売活動)」へ。
調査会社の説明・手配
・・・宅建業者は売主に、あっせん可能な調査会社の情報等を説明します。
宅建業者は、売主と調査会社との具体的なやりとりの手配をします。
調査申し入れの決定
・・・あっせんを受けた調査会社と、調査の内容・費用(調査会社が詳細な
説明を行う場合の費用を含む。)の確認等を行い、調査の実施を申し込むか
どうか決めます。
調査を申し込む
・・・調査を申し込まない場合は、下記の「広告(販売活動)」へ。
調査を実施する
・・・調査会社により建物状況調査が実施されます。
調査報告及び報告書の受領
・・・調査会社の報告書及び報告内容を、媒介業者に告知します。
広告(販売活動)
・・・媒介業者から査定した価格が提示されます。
媒介業者は買主を探すための販売活動を行います。
契約交渉
・・・媒介業者は購入希望者に対して、売主の報告書に基づいて建物の状況に
ついて説明します。また、購入希望者より詳細な説明希望がある場合に
は、調査会社との調整を行います。
重要事項説明
・・・媒介業者は買主に対して、「建物状況調査の結果の概要」に基づき、
重要事項説明を行います。
売買契約の締結
・・・媒介業者は契約当事者に対し、「建物の構造耐力上主要な部分等の状況
について双方が確認した事項」についての書面を交付します。
決済・引き渡し
※買主が調査会社のあっせんを依頼する場合には、上記の流れに加えて、建物の所有者(売主)に建物状況調査について事前に承諾を得る必要があります。
お問い合わせ先
民間住宅部 不動産業課 指導相談担当
直通 03-5320-5071