「不動産取引の手引き」4 媒介(仲介)契約を締結するときは(2)
最終更新日:令和3(2021)年9月30日
2 媒介業者と媒介契約(または代理契約)を締結する
(1)媒介(仲介)・代理の依頼は書面で
宅地や建物の売買をしようとするとき、宅建業者に媒介又は代理を頼むのが一般的です。
宅建業者には、媒介又は代理の依頼を受けた場合、依頼者にその内容を書面(媒介・代理契約書)にして交付することが義務づけられています。
★媒介業務の一般的な範囲
媒介契約により宅建業者が受託する業務の範囲は、通常、売却の場合は①物件調査、②価格査定、③売買の相手方の探索、④売買の相手方との交渉、⑤売買契約の締結と書面の交付、⑥決済、引渡し等です。購入の場合は、①物件紹介、②重要事項等の説明と前記の売却の場合の④から⑥まで等です。
しかし、媒介契約の範囲は、それぞれの契約の内容により異なる場合がありますので、具体的な内容については、媒介契約に先立って確認しておきます。
(2)媒介契約の種類
媒介契約には、①専任媒介契約、②専属専任媒介契約、③一般媒介契約の3種類があります。どの契約形態を選択するかは依頼者が決めます。
共通点と相違点
共通 | 依頼者の義務 | 業者の義務 | |||
---|---|---|---|---|---|
他業者への依頼 | 自己発見取引 | 業務処理の報告義務 | 指定流通機構への登録義務 | ||
専 任 |
有 効 期 限 は 3 ヵ 月 以 内 |
重ねて依頼することができない | 認められる
|
依頼された業務の処理状況を2週間に1回以上文書で報告する | あり
|
専 属 専 任 |
認められない
|
1週間に1回以上 | |||
一 般 |
重ねて依頼することができる | 認められる | 義務なし | 原則なし |
※有効期限について:一般媒介契約については法律に基づくものではなく、標準媒介契約約款により定めているものです。
(3)媒介と代理の違い
●媒介
媒介とは、宅建業者が間をとりもち売主・買主間の不動産の売買の契約の成立に向けて尽力する行為をいい、売買契約を締結するのは、売主や買主自身です。
●代理
代理の場合は、代理人に対して契約を締結する権限が与えられ、代理人は委託者に代わり契約を締結することができます。
通常の不動産取引では、特段の事情(遠隔地の契約等)がない限り、「代理」ではなく「媒介」で行うのが一般的です。
(4)宅建業者に支払う媒介報酬(手数料)額
宅建業者が依頼者から受取ることのできる媒介報酬の額は、上限が決められています。
宅建業者が課税業者の場合は消費税が加わります。
なお、媒介報酬の額は、消費税を含んだ総額で表示されます。
(媒介報酬額の上限額)…宅建業者が課税業者の場合
売買代金 | 媒介報酬額 |
---|---|
200万円以下の部分 | 5.5%以内の額 |
200万円を超え400万円以下の部分 | 4.4%以内の額 |
400万円を超える部分 | 3.3%以内の額 |
★取引額が400万円を超えるときは、簡易計算法で計算できます。
媒介報酬(手数料)の上限額…宅建業者が課税業者の場合
簡易計算法 | (消費税抜き売買代金×3%+6万円)×1.1 |
---|
《計算例》…宅建業者が課税業者の場合
消費税抜き売買代金が2000万円の場合の媒介報酬の上限
(200万×5.5%+200万×4.4%+1,600万×3.3%)=726,000円
(簡易計算法)
(2,000万×3%+60,000円)×1.1=726,000円
★媒介報酬は、成功報酬
宅建業者は、その努力により売買等の契約を有効に成立させたときにはじめて媒介報酬を請求することができます。通常は、契約を成立させたときに報酬の半額、決済時にその残額を請求しています。しかし、その契約が融資利用の特約などで解除された場合等は報酬が返還されることになっています。
これらが明記されていることを確認のうえ、媒介契約書に署名・押印しましょう。
★代理のときの報酬額は
代理の場合、成功報酬である点は媒介と同様です。しかし、依頼者の一方からのみ受取る場合の報酬の額は、媒介のときの2倍(課税業者の場合は、消費税抜き売買代金×6.6%+132,000円)が上限となります。
また、売主と買主の依頼者双方から報酬を受取る場合の報酬の合計額も、(消費税抜き売買代金×6.6%+132,000円)が上限となります。
(5)報酬の支払時期
媒介契約の約定に基づき媒介報酬の請求を受けることになります。その支払時期は、売買契約締結時に約定報酬額の50%相当額、決済・引渡し時に残りの50%相当額を支払うように(媒介契約において)定めるのが一般的です。
よくある質問
媒介報酬についてのQ&A
-
所有する土地付建物を売却する際に仲介業者と媒介契約を結び、買主との間で売買契約を締結しました。仲介業者から仲介手数料のほかに企画料・広告料を請求されています。払う必要がありますか。
-
仲介業者が依頼者から受け取ることのできる媒介報酬の額は、上限が決められています。
仲介業者が報酬上限額を超えて受領できる金銭は、依頼者の特別の依頼により支出を要する特別の費用に相当する額の金銭(実費)で、その負担について事前に依頼者の承諾があるものに限られます。
お問い合わせ先
民間住宅部 不動産業課 指導相談担当
直通 03-5320-5071