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平成23年度第3回東京都住宅政策審議会(平成23年11月21日) における資料及び主な意見の概要

資料

主な意見の概要

○ 高齢時代の到来を迎えて、住宅政策の重要性が増している。高齢化は、本来は長寿を喜ぶべきことであるが、都心部では、地価が高く、年齢を重ねると必ずしも住みやすい町ではなくなってきている。とりわけ、中低所得高齢者に対する住宅政策は、福祉政策と一体化したセーフティネットそのものとして重要となっている。

○ 国民年金のみを受給している高齢者の方にとっては、くじ引きで決まる公営住宅に入居できるかどうかで、生活費に充てられる金額が大きく変ってしまう。不平等解消のためにも、公営住宅よりも範囲を広げて高齢者の生活を支えられる仕組みの構築が必要である。

○ 高齢者のみ世帯や独居高齢者世帯が増えているが、地域での支え合いのために地域包括ケアを促進する必要がある。高齢社会における多様な住まい方の一つとして、自立した高齢者によるグループリビングについて後押しできる政策が必要である。

○ 中古住宅市場の拡大のため、資産価値を保証するデータ、保険の周知と工夫、金融の仕組みについての一層の取組が必要である。

○ 公共住宅について、答申案には、「適切な建替えの推進」という表現があるが、人口や世帯数の将来推計を見据え、将来に渡る必要性をしっかり検討した上で、適切な戸数、場所に建替えていく必要がある。一般の人から見て、不公平感を持たれる場所に立地している都営住宅が見受けられるが、立地場所と建替え戸数については、しっかり検討すべきである。

○ 木造住宅密集地域の整備について、個人の資産、権利を守ることを優先して事業を進めても、なかなか進まない。時には、公の利益や、地域に住む方々の生命・財産を守るために、厳しい措置をとる覚悟も必要である。

○ 住まいの権利を誰にも保障するための、都自らの責任として行うべき都営住宅の建設や、様々な取組への財政支援を放棄して、NGOやNPO、ボランティアに役割を押しつけかねない、重大な問題を抱えた答申案である。

○ 公的住宅の建設を中心とした直接供給方式から、市場の活用、住宅ストック重視という住宅政策へと大きく方向転換した結果、低家賃で良質な住宅を確保できない都民が増え続けている。都民の所得が急激に低くなっている状況も考慮して、住宅セーフティネット機能を一層高める観点から、都営住宅の新規建設を再開し、公的住宅の直接供給方式に方向転換させる必要がある。

○ 75万戸の民間空き家住宅を、借上公営住宅制度を活用して都民に供給することや、都営住宅の入居資格がありながら入居できず、住宅に困窮している都民に対する家賃補助を制度化するなど、市場での住宅ストックの流通促進を図ることにより、住宅セーフティネットの政策効果を上げることは可能である。

○ 都営住宅の居室面積について、型別供給を見直し、子育て世帯の入居も可能な広さの住宅を増やすことにより、都営住宅の高齢化にストップをかけることが可能である。

○ 子育て世帯の居住支援を考えれば、10年という期限を設けた期限付き入居制度はやめるべきである。

○ 住宅の確保に配慮を要する方の民間賃貸住宅への円滑な入居を促進するため、住宅セーフティネット法第10条に規定されている居住支援協議会を設置する必要がある。

○ 首都直下型地震など大規模地震の発生が切迫化している中で、住宅の倒壊や火災から都民の命を守るためには、耐震診断や耐震改修の費用負担を自助努力に任せるのでなく、都が助成対象を広げ助成額を引き上げるなど、実効性ある住宅耐震化政策が必要である。

○ 今後、東京都の住宅政策を推進する過程において、福祉、介護、医療等、基礎的自治体に関わる部分が多くなると考えられるが、その中で、都営住宅の区市町村における偏在について、全都でバランスよく再配置べきと訴えてきた。都営住宅が偏在、集積している多摩地区の場合、世帯数に占める都営住宅の割合と生活保護の発生率とは高い相関関係があり、財政的な圧迫感もあるので、今後の都の住宅政策の推進に当たっては、区市町村との十分な連携と、東京都としての財政支援をお願いしたい。