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平成26年度 第4回 東京都住宅政策審議会企画部会(平成26年10月22日)における資料及び主な意見の概要

最終更新日:平成27(2015)年2月26日

資料

議事概要

  • ・ 企画部会開会に先立ち、同日午後1時より東京都住宅供給公社コーシャハイム千歳烏山の視察を行った。
  • ・ 住宅政策の基本方針等の設定の必要性について議論をおこない、今後の住宅政策の基本的な方針や目標設定などについて整理することとした。
  • ・ 検討課題と取組の方向性について、「住まいにおける子育て環境の向上」、「高齢者の居住の安定」、「都市づくりと一体となった団地再生」などを議論し、部会報告に向け整理していくこととした。

主な意見の概要

<住宅政策の基本方針と取組の方向性>

○ 現行の住宅マスタープランは、東日本大震災直後ということもあり、災害への対策という色が強く出ていたが、次期計画の基本方針でも、非常に重要な視点であることが浮き出るように整理してはどうか。

○ 有期労働契約は就労の選択肢を大きく広げたが、一方でこれからの社会を支える若年・中堅世代を不安定な雇用形態に追い込んでいる状況もある。住宅政策の検討に際しては、近年頻繁に行われている労働関係法令の整備状況を視野に入れていくことが大切である。

○ 住宅と職場との立地関係や、在宅での仕事など就労環境も住宅政策と関連するため、今日的な課題を踏まえた住宅政策を議論することが必要である。

○ 住宅・工業・商業等が混在する木密地域の整備や、大規模団地再生に伴う商業施設の設置に当たっては、地域経済活動の継続性や雇用の維持創出にも十分留意していく必要がある。

○ 住宅政策においては、基礎的自治体が果たす役割が極めて大きい。都と基礎的自治体がそれぞれどのような役割を担い、どのような手法で目標を実現できるのか、具体的に検討すべき。

○ 安心して暮らせる住環境は大事だが、よりアクティブに、気持ちよく生活できる住環境を都が提供できる仕組みがあると良い。

○ これまで以上に、地域住民が主体性を持ち、東京のまちや住まいをどのように良くしていくかという意識を持つことが重要である。豊かな住生活の実現と持続について、重大な役割を担うのは居住者であり、住宅政策の着眼点として、居住者や住民の役割も明確に記載すべき。

○ マンション管理標準指針と同じような指針を、マンション以外の住宅に打ち出せたら、居住者の意識、行動を促す一つの手段になる。

○ 今後の住宅政策では、これまでに経験したことのない状況や課題に直面する可能性が高いため、施策に対する多様なニーズや課題の実状を把握する一つの手段として、生活や社会を表すビックデータを活用するための基盤整備を検討してはどうか。

(子育て環境の向上について)

○ 子育て対策は、社会構造や経済構造に密接に関連しており、住宅政策は補完的な位置づけでしかなく、目標の一つとして独立して位置付ける必要はないのではないか。

○ 子育て向け住宅の供給や子育て施設の整備促進という観点だけでなく、子供が育てられる地域の環境、外部環境等の観点も重要である。

○ 経済的格差が拡大し、低収入層が多くなる時代において、子供の数を増やすために住宅政策でできることは、低収入層の家賃負担軽減などの経済的支援ぐらいではないか。

(高齢者の居住の安定の確保について)

○ 施設といったハード的なものだけでなく、地域の見守り、コミュニティ等ソフト的な施策も打ち出すべき。

○ 在宅介護に対するサポート、介護者への支援等のソフト面での対策が加わると良い。

○ 単身の高齢者世帯に対して、住宅のバリアフリー化という取組では足りないのではないか。

(市場環境の整備について)

○ 既存ストックのみならず、新築住宅も含めて施策に幅を持たせるべき。

○ 国では、事業者団体を通じた適正な住宅リフォーム事業の推進に関する告示が出されたが、都の考える施策は、国の制度とどのように整合・関連していくのか。

(環境に配慮した居住の確保について)

○ 国は「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」を推進しており、都も、このような先鋭的な取組をイメージして環境に配慮した居住の確保を図るべき。

(災害時の住宅市街地の安全の確保について)

○ 地域における共助の仕組みを施策として並べるべき。

(マンションの管理適正化と再生について)

○ 今後加速度的に増えていく、老朽化したマンションに対する対策が建替えのみに見えるが、建替えが成立しないマンションに対しては、どのような対策を講じるのか。

○ 建物の老朽化に加えて居住者の高齢化に対する施策の言及が必要である。

(空き家の利活用について)

○ 戸建て住宅の空き家のうち、利活用できないものは今後増えていくと思うが、どのように対策を進めていくのかを具体的に議論すべき。

(団地の再生について)

○ 団地再生については、地域に応じて、縮小、維持、拡大の施策イメージを明確にする必要がある。

○ 現地視察を行った公社老朽大規模住宅の整備では、複合的に「サービス付き高齢者住宅」を組み込み、サービス利用は地域の高齢者にも解放されている。設備や管理・運営、使用料設定などを含め今後のあり方の検討に際し、留意すべきポイントといえる。

<欠席委員等から提出された意見>

○ 住宅セーフティネットの再構築、まちづくりとの連携、住宅ストックの質の向上の3点が特に重要であるが、住宅ストックの質の向上は、国の役割が大きい。都は、これ以外の二点について、都営住宅の見直しを含めて、住宅・住宅地をどうしていくのかを考えることが重要である。

○ 都市づくりと一体となった団地再生、マンションの管理・再生、木密地域の安全性の向上などは、都の特徴的な重要な課題であり、目標として明確にしてはどうか。

○ 福祉施策の役割を担うのは区市町村であり、同様に、住宅は地域の身近な問題として区市町村が中心となって取り組むべき。また、法定化はされていないが、区市町村が住宅マスタープランを策定すべき。

○ 非正規雇用の低所得者や、国民年金のみで生活する高齢者の住まいの確保を考えることが重要。住生活の基盤が揺らいでいる現状において、住生活の基盤の再構築と安定という視点を基本方針に取り入れてはどうか。

○ 団地は地域の資源として重要であり、地域の資源という形で定義してはどうか。