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平成27年度 第4回 東京都住宅政策審議会企画部会(平成27年10月27日)における資料及び主な意見の概要

最終更新日:平成28(2016)年1月15日

資料

議事概要

  • ・ 前回に引き続き「空き家」に関して議論を行った。
  • ・ 住宅市場についての基本的な考え方や、取組の方向性について議論を行った。

主な意見の概要

【空き家対策について】

○ マンションだけでなく戸建住宅も相当な数が、新規供給されている。戸建住宅の新規の宅地開発を立地適正の観点から誘導しないと、郊外ですぐに空き家になるような宅地開発につながる。

○ 戸建住宅地の中で、コミュニティ機能などを備えた施設などへの空き家改修を推進していくのであれば、用途規制を行う建築行政が柔軟に対応できるようにすべきではないか。

○ マンションの空き室問題については、実態を把握することは難しいが、今後どのくらい増えていくのか議論するべき。空き地があればマンションが建設されるという状況なので、空き室は増加し続けるのではないか。

○ マンションの空き住戸を宿泊施設として活用する場合は、売買や賃貸より効率が良いようだが、住人にとって見知らぬ宿泊者が、空き住戸の利用だけでなく、共有施設にまで出入りすることになるため、管理組合などは不安を抱えている。

○ 空き家対策といっても様々な問題がある。長期不在や、所有者が亡くなるなど、放置される空き家が特に問題である。郊外と都心で空き家の状況を比較すると、郊外のものは人口減少の中では放置され、利活用されにくいが、都心の空き家は利活用されやすい。空き家のタイプごとに問題点を掘り下げて、具体的な対策を検討すべき。

○ 空き家の利活用については、地域によって、独自の利活用策を検討すべきではないか。

○ 区市町村の取組は異なる。異なる取組を都はどうコントロールし、支援するかの方向性についてしっかり議論すべきではないか。特に民泊の問題は、行政の境界線を越えたらルールが違うというのは、使う側にとってはわかりにくいので、都が統一的に何かをするべきではないか。居住誘導などのメリハリのつけ方を区市町村が考えるために、都が統一的なガイドラインなどを示すということもあるのではないか。

○ 区市町村によって空き家問題に対する取組レベルの差がある。今後の政策の方向性としては、区市町村が共通項目での実態把握を行い、その後、東京都と区市町村とで新たに役割分担の議論をするべきではいないか。

○ 現実の対応としては区市町村が主役になる。実効性ある施策をこれからの議論で生み出していくかが大きなポイントになる。

○ 空き家の実態調査については、特定空家だけを調査するレベルから、全戸調査を実施しデータベース化するレベルまである。都として、必須事項もしくは最低限の調査レベルを各区市町村へ示すべきではないか。

○ まちづくりと連携した対策について、都としてきちんと方針を打ち出し、その上で区市町村がそれぞれの独自の方針を打ち出していく必要があるのではないか。

○ マンションの空き室について、しっかり調査すべきである。空き室が集中しているのはどこかということを調査し、対策を打ち出すべきではないか。

○ 現に空き家のものと、空き家予備軍とに分けて具体的な取組について、考えることが必要である。

○ 既に空き家になっている物件については、所有者が売却か解体かの方針を決められるように支援することが重要である。

○ 空き家の予備軍として高齢者の住まいをどうするかという問題がある。高齢者の住替え促進相談では、「民間市場ではなかなか売買されにくい物件」、「家を売ってもローンが残る」、「家を処分した後の行き先はどうしようか」などの相談が多い。空き家問題として捉えるだけではなく、福祉の分野と連携し、セーフティネットや居住政策として考えなければならない。また、民間では売買されにくいものは、民間と行政が連携するような体制を構築していくことが重要ではないか。

【住宅市場について】

○ 民法改正の議論が進められているが、瑕疵担保責任の規定などが変わると住宅市場への影響が大きい。既存住宅のリフォームについて議論する場合、民法改正の影響を踏まえてどのような制度支援が必要か、情報提供するべきではないか。

○ マンションの施工不良について、住宅検査や、マンションの売買市場に与える影響が計り知れない。都がどのような立場で、どのような行政指導をしていくのか示すべきではないか。

○ 将来人口が減少していく地域においても、税制の優遇をして長期優良住宅を建ててもらうことは、空き家対策と矛盾しているので、いずれ整理すべきではないか。

○ 「良い住宅」とは何を意味するかもう少し深く議論したり、共通理解を持たなければいけない。「性能の良い住宅」という意味だが、立地・地域の街並みとの関係などの大きな概念、意味を含んでいる点を整理した上で、今後の施策の方向を定めるべきではないか。

○ 近年、マンションについては投機目的で売買されていることが懸念されており、地方の中核都市でも、マンションを建てると県外からの投資目的の所有者が非常に多いと言われている。購入して住む人を前提とした議論だけでは、マーケットの動向とずれてしまう。

○ 長期優良住宅認定に関して、全国と都内での認定割合を比較すると、戸建住宅では23.9%と16.7%と都内が少なく、共同住宅は0.6%と0.9%と都内が多く、傾向が少し違うことを注意しておくべき。

○ 良質な家づくりの制度について、長期優良住宅認定は、マンションなどで0.9%しか利用されていない。長期優良住宅の水準に達していないからではなく、制度自体を使わない方々が圧倒的多数であるという事実を示している。長期優良住宅の普及を柱とした良質な住宅づくりだけではうまくないので、空き家対策や福祉系の事柄などと再整理して、取組の具体的な案に結びつけるべきではないか。

○ 中古マンションと中古一戸建住宅を比較すると、消費者から見て、不安が大きく流通性が低いのは、中古一戸建である。中古一戸建の流通活性化に焦点を当てて整理していくことも一つの手ではないか。

○ 買い手にはインスペクションや瑕疵保険などの制度がある一方で、売手側が中古住宅を市場に流通させる上での考えが不足している。意図的に流通性を高くすることを考えてメンテナンスを行う人は少ない。制度だけではなく、住み手、売手に対する啓発もポイントになるのではないか。

○ 2007年に住宅リフォーム事業者行動基準が策定され、その中に10項目の行動基準が示されていているが、利用者側から見ると、どこの事業者にお願いしたら安心かということが見えにくいのではないか。

○ 「あんしん住宅リフォーム相談窓口」の相談実績について、平成24年が66件、平成25年が31件、平成26年が41件とあるが、潜在的なリフォームの需要からすると、この数字は少ない。この窓口が実効性ある役割を果たせるよう積極的にPRすべきである。

○ リフォームにより自分の資産をきちんと管理しないと、マーケットに出しても売れない。例えば、住宅ローンを提供する金融機関において、適切な審査をしているはずなので、住宅の評価の管理をしてもらうと建物評価がスムーズに進むのではないか。また、適切なメンテナンスや履歴の記録について、金融機関が担ってくれれば、効果的なのではないか。

○ リフォーム市場が大きくなると、施工品質、つまり大工を中心とする技能者の高いレベルが必要となる。大工の人数が減少してきているので、人材の育成、待遇など今後の技能者の育成の検討が必要ではないか。