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平成28年度 第1回 東京都住宅政策審議会 (平成28年5月11日)における資料及び主な意見の概要

最終更新日:平成28(2016)年6月17日

資料

議事概要

  • ・ これまで企画部会で取りまとめた、「企画部会第二次報告」について、審議会へ報告を行った。
  • ・ 次回企画部会にて、これまでに議論した「企画部会第一次報告」「企画部会第二次報告」をとりまとめ、答申素案(案)として議論を予定する。

主な意見の概要

【住生活基本計画(全国計画)等について】

<全国計画について>

○ 前回の全国計画では、憲法第25条の「健康で文化的な最低限の生活」の一つとして、住宅のセーフティネットの確保を図っていくということと、都市を構成する要素としての住宅の社会的な位置付けについて述べられていたが、今回は、その記述がなくなっている。この点について、都としては、従前の全国計画の前文にあった趣旨は継続されると考えているのか確認しておきたい。

○ 住宅確保要配慮者の増加に対応して、民間賃貸住宅を活用した新たな仕組みを構築する必要があるということが提案されており、また、居住支援協議会の活動の支援、空き家についても、介護や子育て、福祉の施設などに活用することを進めていく、また、地域産材も活用していくことが盛り込まれているので、これは積極的に具体化していただきたい。特に、民間住宅を活用した家賃補助による準公営住宅について、都としての具体化を期待している。

【企画部会第二次報告について】

<全体のまとめ方について>

○ 全体的に漏れなく記述されていて、よくできているが、気になることが2点。1点目は、目標1から目標8まで並列で8点あるということであれば気にならないが、セーフティネットとしての目標3の「住宅確保に配慮を要する都民の居住の安定」でなく、「子育て環境」が筆頭目標になっていることが、気になった。地域によって目標1から目標8のバランスが違うため、「Ⅱ立地に応じた施策のあり方」の部分で、地域ごとにどれに重点を置くかということをきちんと考えていただくことに期待したい。2点目は、「Ⅱ立地に応じた施策のあり方」の基本的考え方の中で、広域的な都市像を踏まえて、区市町村がまちづくりの方針に位置づけた上で・・」の中に、「④超高層マンションなどの新規開発については・・」が抜けていることに疑問を感じる。全体に空き家やストック重視をうたう中で違和感がある。

○ 7月に素案が出されて議論するにあたり、例えば結婚や子育てを機に独立しようとしている世帯や高齢世帯にとって、自分の収入の中で払えるような家賃の住宅が安定的に確保できるのかという住宅費負担の資料を作成してほしい。例えば、目標3の「住宅確保に配慮を要する都民の居住の安定」のあたりで、もう少し状況を深掘りできないか。それに対応して、いろいろな階層の世帯に応じた住宅費負担が可能となるアフォーダブルな住宅のあり方について、検討の枠組みができないものか。

○ 人口が減少していること、空き家も既に相当あるという認識から出発しているのであれば、住宅数をこれから減らしていくことが目標に入っていてもいいような気もする。適正な住替えを支援・誘導するようなことで集約しつつ、住宅数を絶対的に減らしていくこともこれからはあり得るのかなと思う。マンション再生でも、除却売却しながら、現在の住宅地を、住宅ではなくて別の用途の土地として使うことを推進することも一つ。住宅の数が今のままでいいのかどうかという観点が少し出ていないのではないか。

○ 「良質なマンションストックの形成促進計画」では、区分所有の建物を対象としているが、区分所有以外の集合住宅に対する手立てが空白にならないか。耐震化については、一般の戸建住宅と、1棟を個人が所有している集合住宅では、財政負担の大きさからハードルが高いが、耐震化が計画通り進むような手だてを記述してほしい。

○ 東京都の中では民間賃貸住宅の占める割合が高いので、民間賃貸住宅の適正な維持管理、特に耐震性の向上という文言も一文きちんと入れたほうがいい。特に、全国計画では、「民間賃貸住宅の計画的な維持管理を促進するため」という文章があり、それに対しては、これから修繕積立金をきちんと積み立てていこうなどの議論もあったので、「適正な維持管理」という言葉をぜひ入れてほしい。

○ 主に都ができることと国に要望する内容のものがある。国に要望することについて、別紙でもいいので、まとめられるといい(都営住宅の家賃算定、市場整備など)。それがないと、都が一体何を行うべきかということが見えにくくなってしまうので、住宅政策全体の中で、都はここを重点的に対応するということが見えるような形でまとめられるといい。

○ 読む人からすると政策のストーリーが見えづらくなっているので、まとめ方の工夫が必要。例えば、各目標の下に現状を記述した後、政策の方向性、ストーリーをそれぞれの目標ごとに記載。また、民間賃貸住宅に対してはこういう政策をとりますということで、最後に再掲としてまとめる方法も考えられる。

【個別項目について】

<目標1 住まいにおける子育て環境の向上>

○ 「住まいにおける子育て環境の向上」を見ると、家が狭いから家の広さを求めるのかというよりも、東京の場合は、子育て世帯は経済的な課題が大きいので、家賃のことを盛り込まなければいけないのではないか。それから、東京都の出生率は全国で最も低いことをどうするかという視点がない。国は出生率1.8人という目標を掲げていて、それを上げろということではないが、そういう中で若い世代が一番流入しているのが東京なので、ここの落差ということも考えながら記述したほうがいい。それと、ひとり親家庭が増えている中で、対応をきちんと進める方向の書き方のほうがいい。

<目標2 高齢者の居住の安定>

○ サービス付き高齢者向け住宅は「立地に偏りがある。」と記載されているが、バランスの良い配置に努めていくという、もう一歩踏み込んだ記載をしてほしい。都営住宅についても同様。そうでないと、偏在自治体の負担が今後益々増大しかねない。また、都営住宅の建替えにあたっての緑化の推進については、地域性を考慮していただいて、画一的な緑化で土地利用が阻害されないようケース・バイ・ケースによる柔軟な考え方で、より地域の発展に資する跡地利用ができるようなことを盛り込んでもらえるとありがたい。

○ 都営住宅の建替えにあたっての緑化の問題については柔軟に対処していくという精神はどこかに記載されていたほうがいい。各区の事情などを踏まえて展開するということを明記したほうがいいかもしれない。

○ サ高住については、去年から住所地特例の対象になったので、地元の福祉負担が増えることが軽減される方向に進んでいる。偏在の問題は市場に任せることでいいのではないか。

○ サ高住を市場に委ねることについては、地域包括ケアの実現につなげるためには、それほど簡単な話ではない。

○ 「高齢者の居住の安定」の中に、施策の方向性として、認知症高齢者の住宅問題を入れていく必要があるのではないか。

<目標5 安全で良質なマンションストックの形成>

○ マンション再生となると建替えという話が出てきて、いろいろな権利関係が衝突することが多くある。いくら政策が立派でも、法的なことで対立が生じて、頓挫してしまうことがあるので、法律的な権利関係の調整に対する施策も重要。

<目標6 都市づくりと一体となった団地の再生>

○ 「都市づくりと一体となった団地の再生」で「団地」という言葉のイメージについては、公共住宅の単独あるいは2棟や3棟のものもあるし、柔軟に考えることが必要。公的住宅はまちづくりの資源であって、まちづくりと一緒に何か対応することが重要であり、公的住宅の老朽度合いだけで考えるものではないというあたりを、わかりやすく記載していただけるといい。

○ 公的住宅団地は地域の資源と見なしていろいろ対策を考えていくという理念が書いてあれば、わかりやすくなる。

<目標7 災害時における安全な居住の持続>

○ 熊本地震から1カ月になろうとしているところで、今後もまだいろいろな課題が出てくると思うので、こうした点についてもぜひ検討して、活かしてほしい。

<目標8 活力ある持続可能な住宅市街地の実現>

○ 人口減少社会の中で空き家を活用することや耐震化することよりも、減築していく視点が今後は大事。

<立地に応じた施策のあり方>

○ 「立地に応じた施策のあり方」について、東京であっても、場所によっては人口減、世帯減が徐々に迫ってくる中では、問題解決の方法はボトムアップ型で、地域ごとに考えていかなければいけない。区市町村や、都民・住民の主体性や自治性が極めて重要で、自分たちで問題解決に取り組み始めないと、もうどうしようもないというか、そこで動けば変わるかもしれないという点を強調できないか。一方で、一つずつががんばっても調整できない部分があるので、そこは都として都全体を見た上での調整やバランスのとり方をどのようにするのかということを、もう少しメリハリのある記載の仕方にできないか。

○ 地域特性に応じてまちづくりと連係して重点的に進めるという大事なことが書かれている。特に、長期的に見ると、こういう施策をしっかりと展開していくことが長い目で見て大変役に立つ。

【住宅政策審議会終了後に提出された意見】

○ 都住については、基本的な考え方を変えて、子育て世帯向けに立地の良い場所を供給すべき。