平成26年度 第1回 東京都住宅政策審議会(平成26年7月9日)における資料及び主な意見の概要
最終更新日:平成26(2014)年8月29日
資料
- 次第([PDF]36KB)
- 資料-1 第11号諮問 「人口減少社会に向かう中、豊かな住生活実現のための住宅政策の新たな展開について」([PDF]75KB)
- 資料-2 諮問の趣旨([PDF]876KB)
- 資料-3 マンション部会の設置について(案)([PDF]739KB)
- 資料-4 企画部会における主な意見([PDF]371KB)
- 資料-5 住宅政策審議会審議スケジュール(案)([PDF]34KB)
議事概要
- 「人口減少社会に向かう中、豊かな住生活実現のための住宅政策の新たな展開について」の諮問文を副知事から会長に手交。
- マンション部会設置については、審議の結果、設置をすることで了承を得る。なお、マンション部会委員及びマンション部会長については、運営要綱に基づき、会長が今後指名する。
- 諮問については、住宅政策全般については企画部会、マンションの適切な管理や再生についてはマンション部会に各々付託し、そこで調査審議を行う。
主な意見の概要
<マンション部会の設置及びマンションの適正管理・再生等>
- マンションの問題は大都市特有の課題であり、都が率先して取り組んでいく必要がある。マンション部会を立ち上げて集中的に議論し、実効性ある施策を進めていくべきである。
- 「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」や「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」などがあり、法制度上も、マンションには行政の関与が定められている。そういう意味で、マンションの様々な問題について検討する部会が必要である。
- 市場での中古マンションの流通を促進するために、管理状況が評価される基準を作っていくことが重要である。一方、市場で解決しにくいこととしては、区分所有型の大規模団地の再生があり、これについて議論していくことも必要である。
- マンション管理に関しては、義務も含めて様々な面から議論し、方向性を作っていくべきではないか。
- マンションの施工不良の事件がでているが、マンションは防災上も大きな意義があるものなので、管理以前の建築の段階から適正な監理がなされるべきである。
- マンション管理の主体は居住者だが、居住者はマンションの管理や構造について知識をもたない人が多い。居住者が自覚して知識をもって考えていかないと、制度が充実しても活用されない。居住者にどのような啓発をしていくかといったことも視野に入れて議論するべきである。
- デベロッパーなどの供給サイドから区分所有者に引き渡される時点でマンション管理が始まる。供給サイドが管理に対してどういう考え方で新規供給を行っていくのか、消費者としてどう向き合うのか、そういった新規供給の時点での対応も検討していくべきである。
- マンションの区分所有者が高齢化しており、建替え資金の調達が困難な者が多いと聞いている。建替えに関して、区分所有者の所得の状況も含めて考えていくとともに、建替えだけでなく、管理して長く使うことを基本にしていくことも考える必要がある。修繕積立金の範囲内でできるような耐震改修など現実的な対策も考えていくべきと思う。
- 市場では、建替えが可能な立地条件の良いところに新しいストックが増える一方、立地条件の良くないマンションは再生が難しくなる可能性が高い。そういった場合は、市場の方向性とは別に、公的主体の関与の在り方について、都と基礎的自治体とが連携することが重要である。
<まちづくり>
- 都市計画区域マスタープランについては、東京都の場合、人口が増えて地価が上がっている地域もあれば、そうではない地域もある。区市町村が地元の状況をしっかりと見据えた上で整合をとり、調整をしていく必要がある。
- 人口が減少し高齢化が進んでいく中で、単に住宅が新しいものに更新されるだけでは意味がない。その更新を、まち全体が良い方向に向かうように使わなければいけない。
- 木造密集地域の不燃化対策は東京都の大きな課題の一つである。首都直下地震に備えて木密対策の取組を促進していくには、更なる前向きな姿勢が重要だと思う。
<社会情勢の変化への対応>
- 高齢社会対策において、基本は住まいの安定だと考える。住宅困窮者の支援策は非常に重要である。
- 高齢者世帯や子育て世帯に対する施策は力を入れているが、若者に対する施策の展開は少ない。若者世代は、親から自立したい、結婚したいと思っていてもなかなか出来る環境がないというのが現状があり、住宅の分野でも力を入れる必要があるのではないか。
- 人口減少の速度が地域によって違っており、既に人口減少が始まっている地域もある。このような地域が、人口減少の中で自立できるまちづくり、持続性を確保できるような住宅政策を打ち出していく必要があると思う。
<公的住宅>
- 都営住宅は、介護、生活保護、障害福祉など、基礎自治体の事務と密接に関係する。今後の人口減少社会で、都営住宅が果たす役割と、基礎自治体の事務とそれに対する都の支援について、様々な見地から検討していくべきではないか。
- 多摩地域には、住宅供給公社や都市再生機構などの公的住宅のストックが多くあるが、公的住宅団地でも全面的な建替えは難しい状況にあり、それをどうしていくのかが重要な課題だと考える。
- 都営住宅の空き家は少なく、高齢者住宅化している。都営住宅の在り方からすると、望ましいとは言えない。入居者を中堅所得層まで広げて、子育て世帯が入居できるような仕組みを構築すれば、地元の活性化になるのではないか。今後の都営住宅の在り方を見直す時期にあるのではないかと思う。
- 都営住宅、都市再生機構住宅等は、地域の核となるようなサービスを提供できる、新しい中心になり得る素材である。
- 都営住宅の住民の高齢化が進み、一棟ごと高齢者住宅化しているものもある。そのような状況では、震災の際も助け合いが難しく、地域コミュニティの維持が難しい。入居基準を緩和して、ソーシャルミックスしていくことを検討する必要がある。
<空き家>
- 世帯数の1割を超えた住宅ストックがあると言われているが、その住宅ストックが本当に良好な住宅なのか。最低居住面積水準との関係を含め、空き家活用として使えるストックがどのくらいあるのか、検討していく必要がある。
- 空き家の用途変更については、建築基準法のほか、都条例も関わってくるので一体となって取り組む必要がある。空き家の実態調査や家賃助成だけではなく、グループホーム等への用途転用を進めていくべきである。
- 空き家活用に関して、都条例に窓先空地の規定があり、用途転用で寄宿舎とされるとほとんどの空き家は活用できなくなる。また、接道条件についての既存不適格建築物の活用についても課題がある。
<区市町村との連携>
- 多様なニーズに合った住宅政策を推進していくためには、建築法令上の課題や、居住支援の在り方について、基礎自治体だけでは取組に限界があるので、都と基礎的自治体が一層連携して、新たな住宅政策に取り組んでいく必要がある。
<欠席委員から提出された意見>
- 現在の、十数年で建替えをするというのは早すぎる。住宅ストックの価値を維持できるようにすることが必要である。また、人口減少の中で各地域の活力を維持するためには、複数の地域を行き来し、居住するような仕組みもあるのではないか。
- 人がたくさんいれば幸せ、という発想ではないかもしれない。人口減少は怖いことではなく、むしろゆとりある良い環境がつくれる機会なのではないか。また、良好な環境を持つ大規模団地を地域の財産として位置付けることが重要である。
- 所有者が適正に管理する義務を放棄することで周辺地域に悪影響を及ぼす老朽マンションについては、行政の関与も必要ではないか。
- マンションは戸建て住宅と比べて中古流通に乗りやすい。まず中古マンションの流通を成功させ、それから戸建て住宅につなげるのも良い。マンションの建替えについては、都心からの距離を考える必要がある。都心部のマンションは建替えなどが可能だが、都心から遠いマンションについては建替えが難しい。
- 住宅政策審議会の答申の最終イメージを考えながら議論を進めていくという思考を持つことが必要である。また全体を貫く考え方を表現することが大切である。
- 高齢化や単独世帯の増加は、これまでになく急速に進んでいる。これに適切に対応しうる住宅政策を実行していくことが必要だと思う。たとえば公営住宅の制度面においても、高齢化に対応した改革が必要なのではないか。
- 公営住宅は、高齢化が進みソーシャルキャピタルが弱まっている。建替え等のハード整備のみではなく、福祉や雇用対策などの関連分野と連携したソフト対策を含めた施策展開によって活性化を図るべきである。
- 公的住宅の建替えにあたって創出される用地については、単に福祉施設などに限定するのではなく、より幅広く地域活性化にも資する方法で活用するべきである。その際の地価負担の低減も検討すべきである。
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