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平成23年度 第2回 東京都住宅政策審議会 (平成23年10月6日) における資料及び主な意見の概要

資料

主な意見の概要

○ 1ページの西暦と年号の誤記もそうだが、例えば12ページの高齢者関係のデータは西暦表記であるのに対して、13ページの子育て世帯関係では年号表記となっているなど、西暦表記と年号表記が混在している。時間の連続関係ということは、議論していく上で重要な問題なので、都民の皆さんの適切な理解のためにも西暦と年号の両方を併記するように全体を調整すべきである。

○ 1ページに、現在東京が抱えている課題が抽出してあり、8ページ以降に課題に対する取組を記載するという構成となっているが、マンションストックの増大や高度な防災機能については、かなり書き込んである一方、人口や世帯数の減少、あるいは単身の後期高齢者の大幅な増加については、課題に対する取組がやや分かりづらい印象がある。課題と取組の対応関係を分かりやすく記載すべきではないか。

○ 2ページの「住宅政策の展開の視点」の中に「適切に維持・管理・更新・再生する」と記載している箇所があるが、4ページの「視点3」では、「維持・管理・更新」と記載してあり「再生」というフレーズがない。「再生」という言葉は「更新」の意味を含めて表現していると思うが、表現を整理したほうがよい。

○ 5ページの「政策実現に向けて」の中で、「行政による直接供給や補助金による促進等を中心とした政策から、条例制定等を含めた新たなルール整備などの規制強化や規制緩和、税制などにより、市場を誘導していくことを中心とした政策への展開が重要である。」としていることで、直接供給ばかりでなく、補助金による促進も縮小していく方向を打ち出しているが、例えば、原発事故を受けたエネルギー確保のための太陽光発電設置助成の復活や、被災者に対する民間賃貸住宅を借り上げての仮設住宅提供などの政策は、行政の補助金こそ有効であることを示していると考えられるので、「財政的な措置のみによらず」という表現を「財政的措置も拡充するとともに」と修正すべきではないか。

○ 「財政的措置も拡充するとともに」とすべきという修正意見については、財政的措置を拡充する場合の財源はどうするのかという大きな疑問がある。

○ 9ページの「木造住宅密集地域の整備改善」について、東京で想定される大規模な災害は地震に伴う火災であり、一刻も早く、木造住宅密集地域の解消に努めなければいけないが、強制力を持った対応が難しいために解消がなかなか実現できない。そういう背景を考えると案では、「実践的な行動を促すような意識啓発を行うべき」という、当事者の意識に対する表現となっているが、より実効性を高めていくニュアンスで強い意志を表明した方がよいのではないか。

○ 木造住宅密集地域の整備については、市場を通じ解決することは不可能である。この問題は、私権をどう制限するかということに直接関わってくる。住宅所有者に対して、あなたの住宅の現在の状況は、地震が発生したときに周辺の住民の方の命を危険にさらしているということを訴えるべきである。木造住宅密集地域内の住宅所有者の私権をどうコントロールするかということまで踏み込んで検討しなければ、この問題は解決できないのではないか。

○ 9ページの「既存住宅の耐震診断・耐震改修等」については、莫大なコストを必要とするためなかなか進まない実情がある。例えば、生命保険を担保とする融資制度など、資金融資の制度化を検討するなどしてはどうか。

○ 木造住宅密集地域以外にも主要道路沿道などでは避難路となるため、耐震化重点地域の指定や、基準を満たす住宅等に対する一定期間の固定資産税の軽減など税制等による促進策も必要ではないか。

○ 耐震改修については、自分では行ったつもりでも専門知識がないために、実は、全く耐震改修になっていないケースもある。悪質なリフォーム業者が入って形だけの耐震補強を行い、かえって危ない結果を産む場合もある。正しい耐震化に関する知識の普及啓発も積極的に進めていく必要があると考える。

○ 10ページの「防災計画、マニュアル作成等」について、東日本大震災では大規模な地滑り事故が起きている。宅地造成や宅地開発がしっかりなされていないために発生した事故も多い。横浜市ではかなり詳細な造成マニュアルがあると聞いており、都でもマニュアルの整備が必要なのではないか。

○ 東日本大震災の経験から地域コミュニティがいざというときには非常に重要であるという教訓を得た。その意味で、大きな屋敷が細分化され、コミュニティもどんどん寸断されて、地域の安全性に対して好ましくないと思われることも生じているので、地域コミュニティを住宅政策の中でどう反映させていくのかが重要な課題だと考える。

○ 12ページ以降に「高齢者の居住の安心の確保誘導」や「子育て世帯への居住の支援」について記載されているが、例えば品川区の八潮パークタウンでは、入居当初は、中堅ファミリー層が多かった街が25年を経過した今日では、相当高齢化が進んでいるなど、子育て世帯もいずれ高齢者となる。高齢者向け住宅や子育て世帯向けの住宅を整備することは良いことであるが、住まう方々は、時間の経過とともに家族構成や住宅に対する需要が変化するなど、長期間同じところで暮らすことにより、需要と供給のミスマッチが起きてくるので、ミスマッチ解消の視点をもっと盛り込むべきではないか。

○ 14ページの「マンション管理の適正化、マンション再生の誘導」の記載について、分譲マンションと賃貸マンションの記載が入り乱れているので、順序を整理した方がよい。

○ マンションの所有や利用の形態が多様化しているので、今後の具体的検討にあたっては、①自己居住の分譲マンション、②賃貸されている分譲マンション、③個人や小規模事業主が所有している賃貸マンション、④大規模事業主やファンド等が所有している賃貸マンションと細分化して考えた方がよいのではないか。

○ 15ページの「マンション管理の適正化」の中の、「管理事業者の業務状況を的確に確認するため」という表現は、「マンション管理業者の業務実施状況を的確に確認するため」とした方が適切である。

○ 17ページの「郊外住宅市街地等の活性化」について、先日、多摩ニュータウン諏訪団地の改築が報道されたが、今後、高島平や光が丘などもある中で、他のニュータウンの改築の良い先進事例となるので、今回の諏訪団地の事例を共有の財産としていくような視点で取り組んでいく必要がある。

○ 21ページの「賃貸住宅におけるルール等」に関連して、国会に追い出し屋規制法案が提出されているが、法律がいつ制定されるか分からない状況であるので、都が先駆けて、条例等でこれを規制するなど検討してはどうか。

○ 追い出し屋の問題が社会問題となる一方で、高齢者や低所得者は民間の家賃保証業者の保証の対象とならない問題が深刻化している。家賃保証業務というものはそもそもビジネスとして成り立たず、ビジネスとして成り立たせようとすれば追い出しが激しくなるという本質的な問題を抱えているので、民間任せにするのではなく、公的な保証制度をつくることを検討するというような内容も盛り込むべきではないか。

○ 22ページから23ページにかけての「公共住宅でのセーフティネット機能の強化」の中で、都営住宅を住宅困窮者、低所得者へのセーフティネットとしていく姿勢を明確にしている。都営住宅は、区市町村によってかなり偏在しており、全世帯数に占める割合は東村山市が多摩地域で4番目に高い。それが起因しているかどうかは定かではないが、東村山市では生活保護受給率が極めて高く、財政負担が重くのしかかっている。都営住宅の供給方法について、公平性を明確とするのであれば、今後、都営住宅の再配置を検討し、都内の全区市町村が公平に都営住宅を担うべきである。東京都全体で公平なバランスを担える枠組みを構築すべきである。

○ 都営住宅などで行われている若年ファミリー向けの期限付き入居制度では、10年経つと退去しなければならないため、問題がある。定期使用制度は止めるか、少なくとも再契約を可能にするべきではないか。

○ この「中間のまとめ(案)」では、多様な主体との連携が謳われているが、これを進めていくためも住宅セーフティネット法にある「居住支援協議会」を東京都でも設置して、行政と業界、NPOの代表などの団体が協議して支援を進める体制を構築すべきなのではないか。

○ 住宅ストックの活用を進めるべきとの観点から、被災者のために民間賃貸住宅の借り上げを実施した経験を活かして、子育て世帯や高齢者、ワーキングプア状態にある若者に、民間の借り上げ住宅の提供や家賃補助に踏み出すことを検討すべきと考える。前回、5年前の住宅政策審議会答申には、家賃補助について明記されていたので、今回も答申に盛り込む必要があるのではないか。

○ 23ページ以降の「10 地震災害からの復興」について、震災被害からの復興については莫大な資金を必要とする。兵庫県では、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、全国に先駆けて「兵庫県住宅再建共済制度」を設けている。住宅1戸当たり年間5,000円の掛け金で、新築購入の場合は、600万円支給される。東京都も兵庫県の制度を参考にしてはどうか。また、地震保険を義務化することができれば、共助という形での支援が可能となるのでよいのではないか。

○ 東日本大震災で液状化の被害が生じた浦安市の事例では、分譲マンションにおいては、修繕積み立金により費用を捻出することで、敷地内の大規模な上下水道の復旧工事を含め、早期に復旧作業に着手できたが、戸建住宅等では、そうした積立金が無いことが多く、復旧への取組に支障を生じており、結果として行政の負担も大きかったと考えられる。後者は、事前の自助努力がなかったことによる行政からの費用捻出であるが、実効性や平等性の観点から、修繕等準備金積み立て制度等の何らかの自助努力の仕組みを促す必要があるのではないか。

○ 25ページの「高度防災都市づくりに向けて」の中に「逃げないですむ安全なまちとしていくためには」という表現があるが、「逃げないですむ」ということに違和感があり、記載は不要ではないか。また、いざ逃げる時や救助に来る時に電柱が危険と感じるので電柱の地中化ということも大事ではないか。