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平成26年度 第1回 東京都住宅政策審議会企画部会(平成26年5月22日)における資料及び主な意見の概要

最終更新日:平成26(2014)年10月27日

資料

主な意見の概要

〈企画部会の議論の進め方〉

○ 現在の住宅マスタープランに掲げる10の目標は相互に関係が深く、横で割って議論しても統合解は生まれない。10の目標の枠にとらわれず、フィールドを広げて議論するべきではないか。

○ 住宅政策に係る数値目標の取り方は、スケジュールも含めて長期ビジョンの策定状況を視野に入れて議論するべきではないか。

○ 都の住宅政策を議論するにあたり、住宅関連の主要な課題について、現地の状況がどうなっているのか、委員が現地を視察することも重要である。また、住宅政策を具体的に進めるには、地元自治体との緊密な連携が不可欠であり、課題によっては地元自治体との意見交換も必要ではないか。

〈分譲マンションの管理適正化・再生の誘導〉

○ マンションの建替えの円滑化等に関する法律の改正はほぼ間違いないと思うが、耐震性が不足しているけれども、容積率緩和特例の恩恵を受けられないマンション(敷地が狭く、立地条件が悪い)については、敷地の売却にデベロッパーが関心を示さず、法律改正によっても再生できずに残り続けるのではないか。良質ではないストックをどうするかという視点からの議論も必要である。

○ マンションの建替えの円滑化等に関する法律の改正により、マンションの再生として、基本的には、耐震改修、解消、建替えの3つの方針が出された。解消に関しては、法律が改正されても、制度を現場で動かしていくためには様々なフォローアップが必要であり、仮住居、借家人の問題も含めた体制を整えなければならない。

○ 容積率の緩和については、マンション側の関心と期待が高く、都市計画との連携で、どのような緩和を進めていくかを考えていく必要がある。

○ 築年数が経過したマンションほど、再生に進むまでには様々な問題がある。管理の適正化をサポートするための具体的な施策が必要であり、耐震改修、解消、建替えに向けたプロセスの構築が必要ではないか。とりわけ、立地により抱える課題が全く違うので、地域やタイプ別に分けて管理施策を考えなければならない。

○ 建築物の耐震改修の促進に関する法律の改正により、区分所有法の特例として、耐震改修を行う場合の決議要件が、従来の4分の3から2分の1に緩和されたが、認定を受けた全てのマンションで耐震改修ができるわけではない。したがって、どういう基準で認めていくか、方針を決めなければならない。合意形成ができても、費用の問題もあるので、耐震改修を進めていく上で具体的にどのような施策が必要かを考える必要がある。

○ 耐震改修が進まない一つの理由として、取引の際に、耐震性についてほとんど開示がない実態が挙げられる。診断によるリスクを懸念して耐震診断を拒む現状において、流通制度の抜本的な改善とあわせて、管理を向上させていく施策を考えるべきではないか。

○ マンションの維持管理に係る施策は、立地がよく、住宅価格が高いマンションと、立地が悪く、築年数が古く、住宅価格が高くないマンションとを分けて検討するべきであり、後者については、どのような施策がプラスで必要かを考えなければならない。

○ マンションの建替えは5分の4の決議が必要だが、反対する5分の1のほとんどは高齢者であり、彼らは現住居を終の住処と考えているため、高いコストを投資することは難しい。この場合、5分の4の決議のもと建替えを推進することは現実的には困難であり、建替えの決議から実際の着手まで20年程かかる。この状況を踏まえて、建替えのみならず、いかに建物の寿命を延ばすかということも並行して考えるべきではないか。

○ マンションの高経年化や居住者の高齢化が進むにつれ、耐震改修を積極的に進めることは難しく、長期修繕計画に基づく修繕積立金の増額も難しいため、耐震改修や大規模修繕工事を進めるには、財政的な支援が必要である。したがって、住宅金融支援機構の借入れに係る利子補給制度は、高経年化、高齢化が進むマンションにとって非常に有効な施策であり、ぜひ続けてほしい。

○ マンション管理の適正化を進めるには、適正な市場評価が必要である。「マンションみらいネット」は、積極的にマンションの管理情報を公開している組合を紹介しているが、市場では、公開しているマンションに対するプラス評価が足りない。管理情報を公開しているマンションに対する評価を高めるような取組が重要であり、それが管理情報の公開促進、管理の適正化につながるのではないか。

○ 超高層マンションは、耐震性や災害時対応が整備されていることを考慮すると、マンション自体が防災拠点となりうる。それを前提に、防災情報や災害支援物資の提供先として、マンション管理組合を位置づけるような施策も必要ではないか。

○ マンションについては、法改正もあり、適正管理、建替え、耐震化及び流通等検討すべき課題が多く、具体的な施策展開が必要であり、集中的かつ専門的に議論を進めていかなければならない。

〈住宅の耐震化〉

○ 耐震マークの交付は、現在申請ベースであるが、耐震補強がされていない建物は災害時危険な建物であり、周辺住民や建物利用者もその情報を知っておく必要があるため、社会インフラとして耐震マークの交付を義務化するという形での推進もある。

○ 耐震化については、全て一律ではなく、残すべき建物と残していかない建物とを分けて考えるべき。市場で評価される建物は、費用をかけて耐震化を進めることが可能だが、高齢者が住む木造住宅等は、費用の負担が大きい。高齢化が進む中、居住者や住宅のレベルに応じた対応策を検討するべきである。

〈郊外住宅地の再生等〉

○ 今後は、オリンピック等の影響で、都心部の住宅供給は増加する一方、郊外は活力が低下する恐れがある。このような市場競争力の低い地域については、エリアマネジメントやコミュニティマネジメントといったソフトのノウハウがないと、郊外住宅地の再生は難しくなるのではないか。

○ 都市計画区域マスタープランについて、東京におけるコンパクトシティの具体的なイメージが湧いてこない。区市町村と具体的にどのような手順で詰めていくのか。

〈環境に配慮した住宅〉

○ 国は、2020年までに、建物に関して省エネルギーの段階的な義務化を実施すると打ち出し、その中で、公共建築物については、カーボンニュートラルを含めた環境負荷削減を実現する建物を作ると言っている。都についても、住宅政策の中で、環境に配慮した公共住宅を提案することもあり得るのではないか。

〈新しい住まい方〉

○ 都民の住生活に対するニーズは、若者、高齢者ともに多様化しており、かつての単純明快な住宅すごろくではない。この現況を踏まえて、住宅マスタープランは、都の住宅政策を実現することによって、都民一人一人が、自分たちは将来どのような住生活を送ることができるのかをイメージできるような編集にすることが重要である。

〈その他〉

○ 2010年の時点で全世帯数の6割以上が単身か2人世帯であり、少子高齢化が進む中、2020年には単身世帯が約半数を占めるということを前提として、住宅政策を説かなければならない。また、人口減、世帯減に伴う需要減による住宅価格の低下は避けられないので、住宅のハコ部分のみを議論するのではなく、不動産流通の価格の問題も合わせて議論するべきではないか。

○ オリンピックについては、選手村等関連施設の住宅転用が必ず生じ、マンション・公共住宅を含む都の住宅政策と大きく関連する。開催後の施設のコンバージョンも含めた政策を考えていただきたい。

企画部会終了後に提出された意見

〈マンションの管理・流通〉

○ マンション管理を不動産流通の価格に反映させるような仕組みが必要であり、例えば、「マンションみらいネット」への加入の有無、大規模修繕の回数等を業者が任意に調査する手法が考えられる。マンションの評価としてプラスに働く効果があれば、管理組合も開示に応じるのではないか。

○ 管理組合による主体的な管理業務のチェック機能の強化は住宅マスタープランの課題でもあり、組合主体の監査機能の向上を図る施策を講ずるべきではないか。

○ マンションを購入する際の情報入手先(「住まい探し」等関連サイト)は豊富だが、住んだ後、管理の質を実感するための情報源は限られている。活発な管理組合活動の開示を希望するマンションの検索や組合運営のノウハウなどが閲覧でき、購入検討者、居住者いずれにとっても役立つような「住んでから」の総合サイトを、関係機関で共同運営できないか、検討していただきたい。

〈不良ストック対応〉

○ 良質なストックの利活用は審議会の検討事項となっているが、良質でないストックは利活用の対象とはならず、結果、不良物件となり、ゴミの不法投棄をはじめ犯罪の温床にもなりかねず、周辺環境を悪化させる危険がある。このようなストックをどのようにしていくべきか、所有者への働きかけ等を含めた検討が必要ではないか。

〈その他〉

○ 介護現場や外食産業等各方面での労働力不足を考えると、日本は今後外国人の労働力に頼らざるを得ない。日本で働きたい外国人の受入れを含め、働き続けるために安心して生活できる場(住宅等)を提供するには何をすべきか、外国人をも視野に入れた内容の検討が必要ではないか。