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平成26年度 第5回 東京都住宅政策審議会企画部会(平成26年12月24日)における資料及び主な意見の概要

最終更新日:平成27(2015)年2月26日

資料

議事概要

  • ・ 前回の企画部会で議論した基本方針と、前回議論された項目以外の「住宅確保に支援を必要とする都民の居住の安定」「良質な住宅が安心して選択できる市場環境の実現」「災害時における安全な居住の持続」「環境に配慮した活力ある住宅市街地の形成」について、議論を行った。
  • ・ 次回の審議会でそれまでの企画部会の議論を整理した第一次報告を行う。そのため、次回の企画部会では、第一次報告に向けた案についての議論を行う。

主な意見の概要

<住宅政策の基本方針等について>

○ 住宅政策の基本方針として、都民の住生活の基盤の再構築という趣旨を盛り込むべき。

○ 多様なニーズに対応するためには、防災、福祉、雇用政策などに加え、東京の地域経済政策との連携が必要。

<住宅政策の検討課題と論点について>

(住まいにおける子育て環境の向上)

○ 子育てができる前に、結婚して子供を持ちたいと思えるような環境を整備しないと、子育てには至らないと思うので、子供が生まれた後のみならず、子供を持ちたいと思えるような住宅・住環境の整備から議論すべき。

○ 日本の大都市では、職住近接が、共働きができるか否かの第一条件であり、今後の労働人口の減少を考えると、女性が働くことは社会的にも必要である。したがって、結婚して子供を持ちたいと思える環境の整備として職住近接についても議論すべき。

(住宅確保に支援を必要とする都民の居住の安定)

○ 将来イメージや主な論点で、特に強調すべきことは都全体の45.9%を占める単身者であり、単身者やシングルマザー等であっても安定的な居住が実現できることについて言及すべき。

○ 都営住宅での住宅セーフティネット機能は、今住んでいる人に対して強化するだけではなく、都営住宅の活用方法について再検討すべき。

○ 都民の中には、都営住宅に一旦入ると都営住宅でずっと生活できるのではないかといった、不公平感をもつ方もいると思うので、不公平感を払拭するといったことも検討すべき。

○ 民間賃貸住宅のオーナーが高齢者等に住宅を提供する場合、万一の際の補償をどうするのか、また、雇用が安定してない方に対する賃料の問題がある。民間でもある程度の保険はあるが、全体的には対応できていない。したがって、民間賃貸住宅のオーナーの善意だけに期待するのではなく、こういう問題に対して都がどのように対応するのか議論すべき。

(良質な住宅が安心して選択できる市場環境の実現)

○ 都では世帯数及び人口が増加している一方、空き家も多いので、新規供給だけでなく既存ストックを改良して良質な住宅に仕立てなおしていく観点も重要である。

○ 既存住宅が新築住宅と同等以上の魅力を持つように、住宅自体、また住宅周辺の住環境に再投資する仕組みの構築を議論すべき。

○ 既存住宅の売買時には、買主側のみならず、売主側にとっても、品質・性能情報など有益な情報が提供できるような仕組みを議論すべき。

○ 空き家の利活用の促進に向けた意識啓発については、建物所有者のみならず、これから住宅を購入しようと思っている方など、より広く関係する方々も含めて行っていくべき。

○ 住宅の維持管理の適正化や機能改善を促進するためにはマンションの場合、施工に関する相談に限らず長期修繕計画の策定や定期的な見直し、合意形成に向けたコンサルティング、これを実施する環境整備を含めた相談体制の確立についても言及すべき。

(安全で良質なマンションストックの形成)

○ 中古住宅の流通の多くをマンションが占めることから、マンションの維持管理情報の提供促進を議論すべき。

○ マンション再生にあたっては、改修や建替えだけでなく基本的に大規模修繕が重要と考えられる。

(都市づくりと一体となった団地再生)

○ 選手村など、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の遺産を住宅政策にどのように生かしていくのか整理すべき。

(災害時における安全な居住の持続)

○ マンションに関してはマンション内での避難待機の推進についても考えるべき。また、マンションと地域とが協定を結んで、万が一の場合は地域住民がマンションに避難させるということがあるが、こうした協定を結ぶマンションの普及についても検討すべき。

○ 災害時には、住民の連携が最も大事になると思うので、住民の防災活動や災害時における連携に係る取組・支援についても言及すべき。

○ 災害時でも継続的にマンションに住み続ける、MLCPプランの策定や、災害対策基本法に基づく地区防災計画の、マンションにおける立案・推進についても言及すべき。

(環境に配慮した活力ある住宅市街地の形成)

○ 空き家の活用については、不動産業者、住宅をインスペクションする方、リフォームの提案をする方などでプラットフォームを作ることについても言及すべき。また、空き家の活用の手法として、コミュニティで管理する手法が、今は十分ではないので、コミュニティで管理するような方策も検討すべき。

○ 空き家や空き建物の活用については、再投資の仕組みに加えて、建築リノベーション条例のような、新しい法的あるいは社会的な枠組みをつくらなければ、実効性が高まらないのではないか。

(その他)

○ 区市町村や現場では、ハード面だけでなく、コミュニティを強くしていき、ソフト的に住まいの質を高めることが重視されている。民間活力や地域の力を活用していくという視点が必要ではないか。

○ 環境性能の良い個々の住宅については、長く使い続けられる良質な住宅の供給促進という観点でまとめ、集約型の再生可能エネルギー設備の導入や、エネルギー・マネジメント・システムなど面的に住宅の環境性能を良くする論点から環境に配慮した住宅市街地の形成という観点でまとめ、個々の住宅と面的な市街地というように分けて目標を整理してはどうか。

<審議会終了後に提出された意見>

○ 多様な行政分野と連携するためには、各分野の政策立案プロセスにおいて、総合的・横断的な議論が必要であることを、住宅政策の立場から呼びかけるべき。

○ 高齢者が住み慣れた地域で安心して居住するためには、介護を支援する家族の側の条件整備が必要であり、同居・近居できるなど、仕事や生活への負担を軽減することが必要である。

○ 厚生労働省の社会保障審議会・生活保護基準部会において、公的住宅と住宅扶助の関係を見直すべきとの意見があり、住宅セーフティネット機能における都営住宅の役割を改めて検討する必要がある。

○ 公共住宅については、貴重な資源として有効に活用することが必要である。活用にあたっては、高齢者、子育て世帯など様々な属性があるので、こうした属性に対応していくことが必要である。

○ 良質な住宅を作るだけでなく、世代が変わっても使い続けられる方策がなければ、将来的に空き家になってしまうため、活用についても検討が必要である。