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平成26年度 第2回 東京都住宅政策審議会(平成27年2月9日)における資料及び主な意見の概要

最終更新日:平成27(2015)年4月27日

資料

議事概要

  • ・ 企画部会及びマンション部会から、これまでの各部会での議論をまとめた「企画部会第一次報」と「マンション部会中間報告」の報告を行った。
  • ・ 企画部会については、第一次報告を基に、引き続き検討を進めることとなった。
  • ・ マンション部会については、次回の審議会でマンション施策についての第一次答申素案を審議することとなった。

主な意見の概要

【企画部会第一次報告】

〈住まいにおける子育て環境の向上(目標1)〉

○ 東京は家賃等も非常に高い中、都営住宅においては、入居者の高齢化が進み、子育て世帯などがなかなか入居できない状況がある。子育て世帯のみを募集対象とする都営住宅の公募なども行われているが、海外では住宅バウチャーとして民間住宅に入居するための金銭補助を実施している事例もあり、今後検討すべきと考えている。

〈住宅確保に配慮を要する都民の居住の安定(目標3)〉

○ 都民の居住の安定が重要な視点であり、広域自治体として区市町村への支援なども含めて居住支援協議会の取組は重要である。合わせて区市町村の居住支援協議会の設立促進に向けた取組も必要である。

○ 都営住宅の偏在の問題がある。住宅セーフティネットとしての都営住宅の役割を果たそうとすると、偏在している基礎的自治体の負担は大きい。基礎的自治体の事務や財政負担のバランスを考慮することが必要である。

○ 人口減少に歯止めをかけるため、子育て支援に力を入れている基礎的自治体は多い。子育て世帯を中心に住宅セーフティネットを考えていくことは、これからの人口減少社会の中では有効な手立てではないか。

○ 地元自治体にとっては、子育て世帯かどうかということと合わせて生活保護世帯かどうかということも重要。多世代に渡って保護を受けて公営住宅で生活をし続ける若年者世帯もいることを考えると、若年者が住めば地域の活性化につながるというわけではない。貧困の連鎖を断っていくことはこれからの課題である。

○ 都営住宅及びセーフティネットのあり方について検討が必要である。例えば、都営住宅にお住まいの複数の高齢単身世帯が、グループリビングに移行することにより空いた住戸を活用したセーフティネット住宅の充実が可能となる。今後は、都営住宅を貴重な資源、経営資産と考え、具体的提言が必要だと考える。

〈良質な住宅を安心して選択できる市場環境の実現(目標4)〉

○ 住宅ストックの活用のために検討すべき論点として、都民が安心して住宅を売買ないしはリフォームできる環境整備が挙げられている。現状としては国民生活センターにリフォームに関する被害事例が多く報告されているため、住宅リフォームに関しては、適切な業者を紹介することや、都民がリフォームに関する情報がきちんと得られる仕組み、又は建築士との連携がとれるような仕組みを作る必要がある。

○ 東京は住宅も多く建設され成熟している局面にあるが、今、住宅や住環境に必要なのは追加投資や再投資である。さらに、その追加投資や再投資を誰が(売主、買主、公共など)行うかというのが決まっていないことが問題である。これから具体的施策の検討を進める際には、地域価値の向上や事業の主体は誰なのか、資金は誰が出すのかを考える必要がある。

○ マンションの空き家住戸をリニューアルして賃貸化したり、付加価値をつけて売却を行おうとした場合、管理組合が直接行うことは難しい。このような場合、例えば区分所有者で資金を出し合って事業会社を作り、一種の投資という形で自己のマンションの質を高めていくという方法もある。郊外の住宅地であれば、自治体や町会というレベルを超えて地域再生的な事業会社を作るという方法もある。例えば、川越の蔵造りのまちの再生、長浜の黒壁など、「まちづくり事業会社」というコンセプトで成功している例がある。住宅地にも応用できるのではないか。

〈都市づくりと一体となった団地の再生(目標6)〉

○ 住み替えを含めたまちづくりと一体となった団地再生として、今後は、定年退職をして、都心に通勤する必要がない人たちが住まう団地などを中心に、さまざまな住み替えもできるような持続可能な団地への再生のための地域づくりを進めることが重要と考える。

○ 一定規模以上のマンションや戸建住宅が建設されることは、担税力のある人が地域に入ることとなるため大変好ましく、また、自治体としてもそうしたまちづくりを誘導してきた経緯がある。ただ一気に進むと、保育園等の施設不足が生じる。また、民間企業はマンションの建設には熱心だが、販売後の「豊かな住生活の実現」には関心が薄い。20~30年経てば今度は高齢者施設が必要となる。その時々の問題が全て地域の自治体の負担となると大変厳しく、長期的な課題として捉える必要がある。地元自治体と民間事業者との関わりや、長期的なまちづくりの中で責任の分担をどのようにすべきか、といった課題がある。

○ マンション供給によって公共施設の負担が増えるため、負担金を求めたり、課税を検討する自治体もある。うまく整理して各自治体が採用しやすいようにしていく必要がある。

〈災害時における安全な居住の持続(目標7)〉

○ 高層の団地において、大災害時にエレベーターが止まると階段を下りることができない高齢者をどう助けるのか課題である。電力が止まり、隣近所と付き合いがない中で食料をどう確保していくのか、コミュニティの形成も含めて、福祉と住まいの両面で考えるべき。

○ 東日本大震災の場合は、実際は6割の方はみなし仮設に住んでおり、この仮設住宅をどう撤収するかが問題と思っている。関東でこうした大規模な地震が起きた際を考えて、東日本大震災での仮設に関する様々な事象を分析する必要がある。

〈その他〉

○ 地方創生ということで、地域を活性化、東京一極集中の是正という国の政策を、今後の住宅供給の問題とどう整合してくのか。

【マンション部会中間報告】

〈マンション管理の適正化〉

○ 管理組合を中心としたコミュニティの充実の程度によって、マンション内の合意形成のスピードが変わってくる。個人がマンションの売却を検討しても、マンション全体で管理費・修繕積立金の滞納があり、修繕工事も未実施、管理規約にも不備がある場合は値段がつかないこともある。買う方も売る方もその時期にならないと切実に感じられない現状がある。このあたりの仕組みや対応方法等についてどのような啓発活動が効果的であるのか整理して検討する必要がある。 

〈マンション再生・建替え〉

○ 老朽化したマンションの建替えが課題となっているが、規制等により民間では実現できないこともある。面的なまちづくりの中での対策をぜひ進めていただきたい。

○ マンションは、居住者のみならず災害時に近隣住民に及ぼす影響も大きいことから、メリハリをつけてマンション再生に取り組むことが大変重要である。既存不適格であるために今のままでは建替えが困難というところもある。やる気のある管理組合に対する支援についても今後の検討に加えていただきたい。

○ 建替えを急ぐマンションについては、UR賃貸マンションの建替え時にURに積極的な協力を要請するなどしてもよいのではないか。

〈マンション再生・改修〉

○ マンションの長寿命化に積極的に取り組んでいる管理組合もある。大規模改修に合わせてグレードアップしていく方法を検討している。老朽化したら建替えということではなく、どのように維持管理すればより良いマンションとなるのか、等について普及啓発していく必要がある。

○ 企画部会第一次報告に「持続可能」「再生可能エネルギー」等の記載があり、マンションについても「居住環境の維持改善」という表現がなされている。

○ 築年数が長い老朽化したマンション等では断熱性能が極端に劣るものも見られる。業務継続計画(BCP :Business Continuity Plan)等の防災対策、耐震化も重要ではあるが、「健康で快適であること」という視点も重要である。エネルギーや省CO2ということだけではなく、住まう方の健康等についても注意を払う必要がある。