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令和3年度の入賞作品

最終更新日:令和4(2022)年5月2日

□優秀賞□ 2つのお庭のある焼杉のお家PDFファイル1.17MB)
  • (応募者)相羽建設株式会社 中村 健一郎
         小林賢二アトリエ 小林 賢二
         所有者
多摩産材を使った家づくりコンクール

多摩産材を使った家づくりコンクール審査委員長
職業能力開発総合大学校 名誉教授

松留 愼一郎

 東京都の奥多摩地区では、約3万haにおよぶ山林にスギやヒノキが育っており、住宅等に利用できる伐採期となっている。実際に、奥多摩の山林や製材所をみると、良質のスギやヒノキが少なからず生産されている。同じように、国産材は、全国的に伐採期を迎えている。 今回のコンクールは、その多摩産材等を使用した住宅を対象としたコンテントである。1次審査では、応募作品のうち2件の入賞候補作品を選定した。新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置期間中だったこともあり、2次審査は設計者等もまじえてWEBを利用して実施した。審査の結果、優秀賞に1作品が選定された。最優秀賞および佳作は、該当無しとの結果になった。  優秀賞に選定された作品は、多摩産材の良さを活かした作品であり、以下のような特徴がみられる。  

ご両親の家の庭の南側に寄せて配置してあり、北側に開かれた平面計画となっている。庭を介してご両親の家と繋がる構成が、居心地の良い庭空間として実現している。軸組には多摩産材が使用され、床には国産材のスギ、家具や外壁にも多くの国産材が使用されている。また、主な開口部の木製サッシと外壁の黒色の焼杉は、特徴的な外観として目を引いており、庭空間の構成とともに都市部における木造住宅の有り様のひとつを示している。
このように今回のコンクールが終了したことをここに付記して、このコンクールが多摩産材を使用した木造住宅の建設促進をとおして、東京都の森林整備、多摩産材の利用促進、さらには、木材利用や木造建築の振興につながることを期待したい。

優秀賞作品講評
多摩産材を使った家づくりコンクール 2つのお庭のある焼杉のお家
多摩産材を使った家づくりコンクール

コンクール審査委員
林 美樹

 3間×5間のシンプルな矩形の住宅である。木造ドミノ構法により、1階は伸びやかなワンルーム、2階は子供の成長に合わせて可変性のあるプランとなっており、ゆったりした洗面室などに暮らしへの細やかな配慮が感じられる。主要構造部には多摩産材が使われ、簡素ながらも木のぬくもりのあるインテリアとなっている。  特筆すべきは、この住宅の配置と外構計画である。既存住宅(両親宅)の南に建築したため解放できる面が北という条件の中、トップライトも併用して十分な採光を確保。街への顔となる東面の植栽は、焼杉の外壁に映え、奥行きを感じさせる。既存住宅との間の「シェアする庭」は、3世代家族の程よい距離を保つと同時に、思い出づくりの最高の舞台となることだろう。