空き家問題を未然に防ぐために

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居住中から空き家になったときのことを考え、空き家化を予防しましょう。予防のポイントは、「きちんと相続すること」です。
事前にできる準備について、相続手続や関連制度などご紹介します。

空き家を相続するための準備

相続とは、ある人が亡くなったときに、その人の財産(不動産・預貯⾦などのプラス財産と借⾦などのマイナス財産)を承継することです。
相続は空き家に関わる様々な問題の中でもとりわけ重要です。
相続前に「家をどうするか」所有者の意思を確認しておき、必要な手続をあらかじめ行っておくとよいでしょう。

「家をどうするか」を決めないまま亡くなってしまうと、次のようなトラブルが起こるおそれがあります。

ガイドブックの37P
東京空き家ガイドブックP37より引用

所有者は空き家を誰に譲るのかを決めておけば、 後にトラブルとなる可能性は減ります。

相続前に家をどうするかを決めておく方法には、主に「遺言」と「⺠事信託」があります。また、本人の判断力が万全でない場合には、「成年後見制度」があります。

遺⾔書について

遺言書を残すことで、家をどうするかについて明確にしておくことができます。遺言書の作成に当たっては、以下の方法がよく利用されています。

遺言者自らが作成する「自筆証書遺言」

公証人が作成する「公正証書遺言」

遺言書の書き方には決まりがあり、決まりにのっとっていない遺言状は無効になる場合もあります。

「自筆証書遺言」を作成した人からの申請により、法務局が遺言書を保管する制度ができました(令和2年7月10日開始)。この遺言書保管制度を利用することで、自筆証書遺言でも、偽造・紛失のおそれがなくなります。

相続分の指定 相続人の一部又は全員の相続分を指定することができます。相続分の指定がない場合の具体的な分割は、相続人全員による遺産分割協議で行います。
遺産分割方法の指定 「土地と建物は妻に、預⾦は⻑男に」というように、具体的に、財産の分配方法を指定することができます。
遺贈 遺言によって特定の団体等に財産を与えることができます。
予備的遺言 指定した相続人が遺言者より先に死亡した場合に備えて、財産をどうするか決めておくことができます。

⺠事信託について

営利を目的としないで、所有者が他の人と財産の管理などの契約をする方法です(有償の場合もあります。)。預けられる人が家族や親族の⺠事信託を、家族信託と呼ぶ場合があります。

例えば父親(家の所有者、委託者)が娘(受託者)に家を預ける契約をすると、娘はその家を⺟親(契約で決める受益者)のために管理、処分等を行うことができます。

民事信託でよく聞かれる質問

出典:「よくわかる相続」(日本司法書士会連合会)及び「家族信託を利用して新しい空き家予防始めませんか?」(福岡県⻘年司法書士協議会)を基に作成

信託の契約書の作り⽅は、どうすればいいですか︖
契約は私文書と公正証書によるものがありますが、契約の正当性を保証することなどの面でメリットがありますので公正証書で契約を締結されることをお勧めします。
既に認知症の所有者と契約することはできますか︖
契約が有効になるためには、本人の意思能力(判断能力)が必要なため、意思能力を欠く場合は、信託契約を結ぶことができません。

成年後⾒制度について

出典:「成年後見制度成年後見登記」(法務省⺠事局)及び「成年後見制度について」(裁判所ホームページ)を基に作成

成年後見人とは

「成年後見人」とは、本人の判断力が万全でない場合に、その人に代わって財産管理などを行う人のことです。親族や司法書士・弁護士などが成年後見人になることができます。

制度のメリット・デメリット

大きなメリットは、本人以外でも財産の管理ができることです。本人が認知症などによって判断ができない場合でも、成年後見人によって空き家の活用が行える場合があります。デメリットは、家庭裁判所が本人に必要ないと判断した場合は、成年後見人が必要だと思っても実施することはできません。

家族信託との違い

家族信託は信頼できる家族や親族に財産管理を託す制度です。本人の希望に沿っていれば、柔軟な財産管理や資産運用が可能です。
一方で、信頼できる家族や親族が近くにいない場合などには利用しにくい場合もあります。

成年後見制度の手続

本人の判断能力が不十分な場合に親族等が申し立てる法定後見制度の手続は、本人の所在地の家庭裁判所に、また、判断能力があるうちに本人が後見人を選定する任意後見制度の手続は、お近くの公証役場にお問合せください。

制度の選定

財産管理には生前贈与や生前売買などの方法もあります。制度の趣旨や運用の実務を理解して自分に合った制度を使いましょう。

エンディングノートのススメ

出典:「終活のすすめ」(東京都多摩消費生活センター)及び「エンディングノートで見えてくる終活の形」(日本財団遺贈寄付サポートセンターHP)を基に作成

「令和元年空き家所有者実態調査(国土交通省)」によると空き家を取得した経緯として一番多いのは、「相続」です。

“いざ”と言うときに残された家族が困らないように、家族などに伝えたいことを記しておく「エンディングノート」や財産分割などの相続のトラブルを防ぐために作成する「遺言書」を準備しておきましょう。

エンディングノートと遺言書の違い
東京空き家ガイドブックP41より引用

「エンディングノート」とは、人生をどう締めくくるかを考え、書式、形式にこだわらず、気軽に自分の思いを書くノートのことです。
「自分のこと」、「葬儀・お墓のこと」、「遺言・相続のこと」などを書き記しておくと、もしもの時に役立つでしょう。また、空き家等について、今後どうしていきたいのか、考えを整理するきっかけにもなります。

専用のノートも販売されていますが、普通の大学ノートでも十分です。独自の「エンディングノート」を作成し、HPからダウンロードできるようにしている区市町村もあります。

エンディングノートに記載する情報の例
東京空き家ガイドブックP41より引用

安心してより良く暮らせるように、「エンディングノート」を書いてみませんか?

相談事例

法定相続⼈がいない場合は、どうしたらよいでしょうか︖

相談内容とお悩み解決プロセスは以下からご覧ください。

東京空き家ガイドブックP53-P54(PDF:1.14MB)

参考ページ

東京空き家ガイドブック
東京住まいの終活ガイドブック
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東京都空き家ワンストップ相談窓口

お問い合わせ先

民間住宅部 計画課 空き家施策企画担当
(直通)03-5320-5148

記事ID:109-001-20241204-010615